一般加入電話が世帯の1割に行き渡る前に世界第2位の携帯電話大国となったり、白黒テレビの次がいきなり平面大画面といった消費拡大を仮にジャンピング現象と言うことにする。最近の例ではビデオデッキをジャンプしたDVDの普及や、ISDN投資を省略したADSLへの移行など日本では見られない変化を遂げている。テレビの件で付け加えれば上海では屋上のテレビアンテナ敷設工事が省かれほぼ100%ケーブル化されてしまった。こんな国だから35年も前の技術である新幹線をジャンプし磁気浮上鉄道というのも特に驚く必要もなかろう。
仕事柄身近な例では上海スタッフに「パソコン通信」という概念をいくら説明してもなかなか理解してもらえない。フランスのミニテルやアメリカのコンピュサーブ、日本のPC-VANにあたる偉大な文化がこの国では全てショートカットされ突如IPで世界に繋がってしまった。
こういう状況だから「中国だから使い古した廉価版で」という考えでは絶対失敗してしまうでしょう。耐久消費財について言えば、日本の消費者は多機能高品質の新製品と特売処分のアウトレットを上手く使い分けているが、上海では妥協せず吟味を重ね10年は使うつもりで買ってゆく。証拠に秋葉原では当たり前のパソコンの中古やアウトレット市場が全く成り立っていない。自動車でもGMが本国でミドルクラスのビューイックを最初から投入したり、本田も日本で好調な軽自動車ではなく300万円以上するアコードを現地生産したのも同様の理由で、3年前にタクシー車両として登録出来なくなった天津ダイハツのシャレード(リッターカー)など既に上海で見掛ける事は無い。
何れにせよ中国マーケティングを考えるのであれば暫く此処で生活してみる必要がある。
(パシフィック・ブレイン株式会社 代表取締役 藤川 洋)