毎年2月を迎えると街中で大きなリュックを背負った若者を目にすることが多くなる。特に南京路や外灘の外白渡橋あたりを通ると青い本片手に歩く日本から来た学生風の人達を必ず見つけることが出来る。厳しい就職戦線を勝ち抜いて晴れて卒業旅行という人も多いのではなかろうか。
私だって10年前はその青い本に出ていた朝食付き1泊10元で泊まれるという浦江飯店のドミトリーを目指し、蘇州河に架かる外白渡橋を渡り対面の俄羅斯領事館(当時はソビエト連邦と名乗っていた)に入ろうとして銃剣を持った公安に腕を掴まれたものである。
大阪まで夜行バスで行き、南港から船で上海をめざした事もある。私の卒業旅行はユーレイル・パスを持って行ったヨーロッパだった。安いパキスタン航空を選び行きも帰りも予定通りのマシントラブル。出発日に舞浜シェラトンにタダで泊まれたまでは良かったが、ロンドンに着いているはずの3日目にはサウジアラビアのダーランとか言う空港で炎天下の滑走路を全ての荷物を持って歩いていた。帰りも予定外の北京経由便だったのでパリの中国領事館でビザを貰い、北京で東京までの切符を捨てて東方航空に乗り換え上海に寄ったのだった。その後、証券会社に3年間勤めたがこの頃から上海と自分は切り離せない存在になっていたのかもしれない。
上海から鉄路でシルクロードを目指すのもいい。チベットや内モンゴルもここの安宿で情報を仕入れてじっくり旅程を練ればいい。今も若き冒険家の出発駅である上海で仕事に疲れたとき、つい烏魯木斉(ウルムチ)行きの火車に乗り込みたくなる衝動に駆られることがある。
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浦江飯店:
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黄浦路15号、1860年に建てられたルネッサンス建築で上海開港後初めての高級ホテルとのこと。今は外国人バックパッカーの溜まり場的存在。値段の安さより中国各地の旅行情報が口コミで集められる事に価値がある。目の前の青壁はロシア領事館。
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写真にある外白渡橋の奥の建物は3星ホテルの上海大厦で本文の浦江飯店は写真の道を挟んだ対面です。 |
(丸加物産株式会社 代表取締役 藤川 洋)