約1年前、上海の交通事情について取り上げたが、公共交通機関が未発達の上海ではどこへ行くにも社用車かタクシーが必要との印象を受けたと思う。しかし今ではメルセデスやボルボの快適な高速バスが1時間に何本も出ているとなると様相が変わってきた。既に市内バスの殆どが冷房化されており、今年10月には地下鉄2号線が部分開通し更に高架鉄道も完成間近である。
この間タクシー料金は初乗り5キロ14.4元から3キロ10元に下げる一方で遠距離では逆に値上げとなる運賃改定が行われ、更に割安な赤いシャレードは営業許可が認められず上海から姿を消した。これには販売不振の地元フォルクスワーゲン・サンタナをタクシー会社にもっと売り込もうという目的もあったと言われている。
ところがこの不況とリストラで手っ取り早く稼げるタクシーが減る様子もなく空港では遠距離客待ちのタクシーが列を成し、古北等の近場だとあからさまに乗車拒否、乗っても「2時間も待ったのにたった15元か」と言われる始末。先日は迂回して高速に乗らなかったにも関わらず高速代15元を要求するので領収書よこせと言うと何と浦東へ行く延安トンネルの領収書が出てきた。ちなみに空港では外国人は余り上客ではない。理由は彼らの行き先が空港周辺の高級住宅地や市内中心部のホテルであることが多く儲からないからである。また空港待ちの車は大衆、強生といった大手会社が極めて少なく更に面倒に拍車を掛ける。
こうしたなか、大手は数千台の車を擁しシートにはISO9000認定と誇らしげに書かれているので乗車拒否や空港から虹橋賓館に行ってトンネルの領収書が出てくる事はあり得ないのだが。何れにせよ遠距離利用が減ったのは間違いなく、以前ほど稼げる商売ではなくなったことは確かなようだ。今度200元を越えるような遠距離でしかも往復ならメーターの2割引を交渉してみよう。はじめは考え込んで渋々了解したふりをしても5分もすると大抵鼻歌混じりで嬉々と運転をはじめることだろう。
(丸加物産株式会社 代表取締役 藤川 洋)