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上海便り
1999.5.14 第七十一便、冷静だった上海市民
「ベオグラードの中国大使館がNATO軍に爆撃され犠牲者が出た」目が点になるような一報を聞きすぐにインターネットで幾つものニュースサイトにかじりついた。NATO加盟国からすればロシアと共に最大の外交的配慮をしているはずの中国に何故?未だ納得のゆく説明は無い。もっとも電子戦とかピンポイント攻撃など格好良いこと言っても所詮火薬を使った「戦争」である。大切な人を失ったり、一生の傷を負ってしまった市民は生きている限り空爆した国を恨み続ける。数十年禍根を残すリスクを負ってまで、何故、歴史有る「他国の街」を爆撃できるのであろうか。原爆を2度も落とされたうえに、60年前の過ちを未だ責められ続ける日本人の私には絶対に容認できません。

さて今回、中国マスコミの反応は素早かった。テレビや新聞は米国を中心とするNATO諸国への非難一色。ゴールデンタイムには朝鮮戦争を題材としたモノクロ映画が流れるほどだった。上海でも日曜日に米国大使館周辺で大学生を中心とするデモ(遊行)が行われたものの、投石の北京や火炎瓶が飛んだという他都市に比べればかなり平穏で、横断幕とプラカードを掲げて練り歩くという東京でも見掛ける平和的な光景だった。

実際、上海人大学生からはついに米国等を非難する生の声を聞くことがなかった。又聞きであるが上海交通大学では計画していた2日目のデモが自然消滅で中止。一方、正門で巨大な毛主席の銅像が学生を見下ろす復旦大学の理科系学部2年生は「遊行見たけど私は興味ない。ただ死んだ三人の中で、新婚の二人がちょっと…新しい生活が始まったばかりで気持ちが悪くなった」とのコメント。更に自由闊達な上海師範大学を去年卒業し、日本の私大に留学中の学生は電話口で訝しげに一言「あなた共産党員ですか?」である。

中央のマスコミに「この屈辱と悲しみをバネに総合的な国力を高め、二度と西側諸国に侮られないよう各々の生産・学習活動に一層励もう」などと言われなくても上海の若者はいつも通り日々仕事に励んでいる。

(丸加物産株式会社 代表取締役 藤川 洋)

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