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上海便り
1999.2.12 第五十八便、産学協同研究
スタンフォード大学など学術研究機関が若い起業家のインキュベーター(孵卵器)として物的人的資産を有効活用したことが今日のシリコンバレー勃興の大きな支えとなった例を挙げるまでもなく、ハイテク企業と大学との連携は新産業創出の鍵となっている。最近、上海の大学でも情報通信やソフトウェア開発分野で民間とのコラボレーションを模索する動きが見られている。

中国では対外開放の結果、これまで国民を養ってきた国営企業の多くが国内外の競争に曝され、劇的な構造改革をしない限り破綻すら免れないという瀬戸際まで来ている。これは今後も引き続き大量の失業者が発生することを意味する。この失業者を吸収できるのは民間セクター、しかも失業者や新卒者自らの起業を含む新規産業に頼るしかないであろう。私は21世紀を迎える2年後には上海とその周辺でシリコンバレー型の起業ブームが起こると考えている。

中国がソ連や東欧同様ガチガチの計画経済から唯一ソフトランディングできたのは、外資の進出や市場経済化といった環境の急変に柔軟に対応する能力と「危機の機は機会の機」というベンチャー精神を他の共産国より多く持ち合わせていたことに寄る部分が大きい。これには華僑の親戚や知人を通じて個人レベルで世界情勢との関わりを絶やさなかった点や、都市部の基礎教育が文革混乱期も意外に普遍的であったこと等が理由として考えられる。そして80年代から海外に留学で出ていった知識エリート層がビジネスマンとして帰って来る環境が上海など都市部を中心に徐々に整備されてきた。

現在外資企業の進出は一段落し、反対に撤退話が聞かれる一方で復旦大、交通大、上海大などと外資系ハイテク企業との共同研究プロジェクトが目白押しとなっている。分野は情報通信、映像処理、データ圧縮、コンピュータゲームの開発などが中心である。またこれらマルチメディア分野で学生と教師が協同で企業経営を始めてしまうケースもあり、有名なのは北京の北大方正集団や同じく北京の清華大学だが、上海はあと2年で臨界点に達すると予想している。今後、機会が有ればこれら企業を紹介してゆきたい。

(丸加物産株式会社 代表取締役 藤川 洋)

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