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日中逆転
2003.1.7 第四十九話「2010年のグレーター上海」

98年の1月5日に上海事情の第一便、[歓迎光臨、世界で一番元気な街「上海」へようこそ!]を送り出しちょうど5年目を迎えました。この間でめまぐるしく変化した上海周辺ですが現連載の題名でもある8年後の2010年、世界万博の開かれる上海とその周辺、またそれを取り巻く我々の生活がどのようになっているか勝手に予測してみました。

インフラストラクチャー
1、空港
蘇州と無錫の中間に位置する現在の光福飛行場(軍用)を拡張、3,500メートル滑走路1本を擁する太湖国際空港として浦東、虹橋に次ぐ第3の国際空港として開港している。運営会社は「公団」などではなく株式会社であり(現在でも中国の主な空港運営会社は株式上場企業)各社ともに顧客誘致のため空港使用料に充当できる株主優待券を配ったり、市内シャトルバスの運行や旅行代理店でお食事券を配るなどして利用者を呼び込んでいる。

2、高速道路
現在の滬寧高速に並行する国道が乗用車と高速バス専用の高規格高速道路(第二滬寧)となり、現在の滬寧高速は主にトラック中心の貨物路線として供用されている。2つの道路運営会社は「公団」などではなく・・・以降上記とほぼ同じ(略)

3、新幹線
上海ー北京間を営業時速300キロの日本型新幹線が開通している。例えば上海から無錫まではこだま型で40分、蘇州通過のひかり型なら30分で行ける。また途中南京、済南、天津にしか止らないのぞみ型なら上海ー北京間を5時間で疾走。

4、私鉄沿線
上海市内数箇所より郊外へ射線状に鉄道が伸びており各線とも沿線にショッピングセンターや大規模住宅地を開発。ターミナルには駅直結のデパートが建設されている。

5、エネルギー
杭州原発は凍結、代わりに世界最大の半導体供給基地となった蘇州周辺で安価な太陽光発電パネルと高性能電池が造られ一般に普及、郊外の大型低層住宅、工場などではこの設置が義務付けられている。

産業と企業
1、奇跡の大復活
2004年をボトムに奇跡の大復活を果たした日本企業、そのきっかけは21世紀を境にかつての太平洋ベルト地帯を東シナ海を飛び越え拡大したことから始まる。果敢にチャレンジした企業にとってかつて憂慮されたような失われた20年とはならなかった。産業の集積はやがて市場を育み、成長した市場は再び新しい産業を育む。市場と同化し国を超え不死鳥の如く蘇った。東京の有名私大がMBA専門の大学院を無錫に設置したところ金融覇権のアメリカモデルと一線を隔し大復活を遂げた秘訣を学びに欧米からの入学希望者が殺到している。

2、ワールドカップ
年平均7%の経済成長に加え人民元は対ドル相場で現在より30%高くなっている。このグレーター上海2億人の巨大市場を狙い殆ど出揃った日系消費財メーカーや小売業は蒼々たる海外企業を巻き込んで日々熾烈な競争を繰り広げ、もはや北米と並んで世界で最も気を抜けない重要なマーケットとなっている。

3、ブランド
大復活を遂げた家電、自動車などブランドとしての日本企業は現在以上に認知されている。世界ブランドとして確立しているアジア企業は日本勢を除くとかろうじて韓国のサムスン(エレクトロニクス)とヒュンダイ(自動車)だけ。但し中国なくしてこれらの存在は考えられない。

4、島耕作
マンガ島耕作シリーズの肩書きが「会長」になり10年を超える大巻終結。持ち株会社化し本社を移転した蘇州で時折グループ会社の中国人社長の相談にのっている。社屋は青島のハイアール本社のイメージ、会長の住まいは平取時代の高級マンションから太湖畔のプールつき邸宅へ。

5、ハローワーク
日本各地のハローワークに「海外企業」という分類ができ、その多くは上海周辺の日系メーカーや日本人を必要としている中国や他国の企業である。求人情報は厚生労働 省外郭団体の上海事務所で集めている。求職者にとって2010年の上海は福岡のちょっと西といった感覚、ただし自由貿易区が大成功し毎年10%成長を続ける沖縄県にある精密機械工場にするか迷っている。

社会状況
1. 中国国内で研究活動している中国人から初めてノーベル賞受賞者がでた。
2. 上海周辺に日本の私立大学の分校が複数存在する。
3. 上海周辺に幼稚園から高校までの日本語一貫教育進学校が出現。
4. 上海戸籍者のノービザ日本渡航が実現し当然に日本人の短期渡航も中国ビザが不要になっている。成田と羽田からは予約不要、各社共通のシャトル便が定時運行している。
5. 2007年までに中国人民銀行は人民元を完全変動相場制に移行。2010年の現在では日本の銀行で使い残した人民元の両替ができたり元建ての電力債などを窓販している。

「何を今更、妄想だ、いや単にくだらない」等々ご意見もありましょうが、ともあれ2003年も良いお年でありますように。

パシフィック・ブレイン株式会社 代表取締役 藤川 洋)

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