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日中逆転
2002.8.21 第四十四話「香港の夜景に感じたこと」

久しぶりに香港に行った。上海からの飛行機は香港島上空を通過、ほんの一瞬セントラルの超高層ビルを掠めてそのまま洋上に、マカオがはっきり見えるあたりでUターンし5年前中国返還とほぼ同時に開港した新空港に降りた。「ほんの一瞬」と書いたが急斜面で殆ど平地の無い場所にこれだけの人とビジネスが集積しアジアの金融センターとして君臨する姿は敬服に値する。我々は普段東京から横浜へ電車で、上海から嘉定の工場に車でというように平面の生活をしている。ところが香港では縦軸の移動が非常に多い、3Dの世界なのだ。つまりエレベータと地下鉄、何層にも複雑に交差するハイウェーとトンネルを潜り抜け10分で到達する九龍の工場も地上20階、各階でフォークリフトが忙しく動き回っている。島の反対側へも生い茂る山肌の緑と淡水湖を越えれば映画「慕情」の舞台になったスタンレーの海岸へ20分で辿り付く。人類がここまで集積し効率的に生活を営んでいる世界稀に見る都市として島全体を世界文化遺産にしてはと思うくらいだ。

ところで香港のサイバー化度はどんなものかといろいろ見聞きしたがあまり進んでいない。電脳ショップでは日系のSo-NetがADSLのパンフレットを配っていたが一般家庭に常時接続が浸透するにはまだ時間が掛かりそうだ、東京で流行っているホットスポットも見つけられず意外にCATVも普及していない。Webコンテンツ系ビジネスもパッとせずネットを使って何するかという観点では韓国に程遠くネットバンキングや証券の普及では日本にも及ばないと思った。狭い香港だからこそ飲茶で商談し意気投合すればその場で現場に直行する。また日常の買い物などネットで検索するよりエレベータで地上に降りた方が早い、目と嗅覚で品定めしトレードするリアル社会なのだろう。

私は学生時代の88年8月8日に初めてこの地を訪れたがあれから14年経った現在、ちょっと残念なのは日本企業の衰退である。当時九龍サイドから見たネオンは殆ど日本企業のものだったと記憶しているが主役は既に韓国企業から中国企業に移った。銀座か日本橋かと見間違えるように並んでいた日系デパートも多くは姿を消した。最終日にフカヒレをご馳走になった店を出て宿に向かって歩いていると「山一證券」の看板を見つけた。よく見ると京華山一證券で元山一香港法人を台湾企業が買収して残った企業だが表面上何も変わっていなかった銅鑼灣のそごうと並んで今後は日本ブランドの現地化も進んでいくのだろうか。

パシフィック・ブレイン株式会社 代表取締役 藤川 洋)

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