デフレ下の日本で値段が急騰している商品がある、パソコンのメモリーボードだ。例 えば昨年の10月ごろ秋葉原では128Mbなら1200円台が相場だった、日替わり で999円と言うのもあった。それが今や4000円を超えている。言い換えればあ の頃100万円分のメモリーを買って押入れにしまっておき、今放出すれば400万 円になる訳である。
規格が統一されたメモリーチップは今や金属や原油と同様、戦争当事国でもない限り 世界中同じような値段で取引され上海でも秋葉原でも似たような値段で売られている。 さてこのメモリーをはじめとする半導体産業が上海(浦東)に大集結している。詳し い数字は報道等で検索して頂きたいがファウンダーと呼ばれる他社から主に汎用品の 製造を請け負う業態だけでも今後3年間で1兆円を超える投資が計画されている。更 に特定の家電や電子機器の制御に使われるASICという半導体でも世界的メーカー が上海に進出し設計から製造まで一貫して行うラインが出来上がりつつある。
これに連れ半導体製造装置メーカーやその部品製造業者も集まってきた。更に台湾か ら上海へのシフトも加わり今後数年間で上海は世界最大の半導体産業を擁することに なるのは確実だ。日本の製造業がこれまで培ってきたノウハウの蓄積が殆どこれら半 導体チップに納められていることを考えると、単純作業のラインが中国移転し国内工 場が閉鎖される空洞化とは次元の違う新たな問題になりかねない。
しかしもはや上海シフトは決定的であり、日本企業が進出を躊躇っても世界中のライ バル企業にその分埋め合わせされ、益々日本企業の競争力が弱体化することにもなる。 丸一日飛行機に乗って時差ボケと格闘しながらやって来る欧米ビジネスマンに比べれ ば文化的にもずっと身近で便利な上海を如何に活用し自らの競争力を維持し高めてい くかが問われている。