|
今後中国が頭角を現すハイテクとしてIPと衛星の活用が挙げられると思う。何れも発展レベルの異なる広大な国土を効率的かつ安価に繋ぐにはかなり有効な技術と言えるだろう。まずIP、正確にはVoIPだがインターネット・プロトコルの略称であることなど知るはずもない70歳のおばあさんも北京の孫へはいつもIP電話を使っている。もともと国際電話を安くする切り札だったIP電話が国内長距離電話にも利用されるようになった。個人向けは専らプリペイド・カード式で、最大手の中国電信と新電電各社の割引競争で通話料金は下がる一方である。更に大口の企業ユーザーへは個別対応で各社とも専用アダプタの売り込みに余念が無い。但しこの秋北京―上海間にデビューした豪華列車の個室にIP電話が備え付けられているというのは拍子抜けだ。飛行機より高い個室である、みな携帯を持っていて1元2元を惜しむ客層じゃないだろうに何故「IP」なのか理解に苦しむ。
もう一つ、上海の街中で地上波用のテレビアンテナを見つけるのは至難の業だ。観光名所の東方明珠はテレビ塔なのだから地上波放送も行っているはずだがそれをキャッチするアンテナがない。実は上海はほぼ100%の家庭にケーブルTVが敷設されている。北京の中央電視台と上海各局が配信され、視聴料は月額8元である。また新しいマンションでは独自にパラボラアンテナを設置し、台湾や香港及び大陸各局波を受信し各戸へ分配している。それらを加えた視聴料も月額15元から20元で現地の感覚でも高くない。更に外国人向けマンションではCNNやBBC、NHKなども加わるがこのようなサービスが無くても自ら3千元程度のパラボラを窓枠などに設置して楽しむこともできる。ところで中国の衛星打ち上げ技術には定評があり先進国より割高な保険料を加えても依然国際水準より安いとのこと。今後衛星打ち上げ受託についても中国発の価格破壊が起きないだろうか。しかし不要不急の衛星が頭上を飛び回りいつも宇宙ゴミの落下に悩まされるのは御免こうむりたい。
(パシフィック・ブレイン株式会社 代表取締役 藤川 洋)
|