建設ラッシュの市内だが、よく見ると錆びた鉄骨剥き出しで何年も工事が中断している建物がある。バブル弾けた日本では幽霊ビルになることは承知の上でも取り敢えず完成までは漕ぎ着けたものである。今回はこの点についてちょっと掘り下げてみる。
一般的に日本のデベロッパーは用地確保の段階から巨額の融資を受けて、長いものでは10年掛かりで開発し完成後に回収する。ところが上海はまず土地は国有だから50年から70年の使用権(開発権)を確保すれば良い。難しい地主や借地権者に高額の立退き料を払う必要もない。更に開発が決まったと同時に売り出す。但し買う側にも完成が延びるリスクがあるからこの時点で買えば完成時の7割以下で買える事も珍しくない。もちろん通常は3、4回に分けて払うが売り出し直後に全額現金なら半値とも聞く。
さて、心配なのは不況などで順調に買い手が続かなかった場合である。日本なら銀行の長期融資で手当てしているから問題ない、ところがこちらは売れ行き不振で資金が調達できなければ即工事は中断され放り出される。そして市況が回復し現金が入ってくれば工事再開、持ち堪えられなければ建設途中の物件そっくりが儲け無しの底値で転売されることもある。
ある意味で上海はマーケットに忠実で、結果として需給のバランスが取れているのではなかろうか、日本のように1/10の価値に下落した土地に十何年も融資がへばり付くことはないから不良債権の先送りも起こらない。売れないから工事中断、売れ出したら再開、単純ながら結果として市場の調整弁となっているのではなかろうか。
(パシフィック・ブレイン株式会社 代表取締役 藤川 洋)