最近、日本に居ることが多くなり、今回は2月ぶりの短い上海滞在となったが、停止ボタンが外されたクレーンの旋回と槌音は相変わらずで永遠に続く都市建設は進行中だった。
この裏付けの1つが絶対的な住宅不足で、未だ多くの人が古い6畳足らずの部屋で親子3人が煮炊きしながら生活している。もう1つはグレーターシャンハイとも呼べる巨大経済圏が形成されつつあり、国家プロジェクトを待つまでもなく世界の巨大企業が香港その他のアジア地域から上海に拠点を移し始めたことに起因しよう。
ちょうど後にウサギ小屋と呼ばれた昭和40年代の団地建設とバブル期の東京ウォーターフロント、そして現在の都心高層マンションブームが全て同時進行しているようなものである。日本のバブル期のように一部の資産インフレ層に偏らず日々キャッシュを稼ぐ給与所得層が住宅を買い始めた事、海外の巨大マネーが逃げ足の速い投機ではなく現地法人設立や工場建設といった地に足のついた投資に向かい始めたことが上海不動産市場を打たれ強くしている。
日本では一部の高級マンションが即日完売と聞くが、こちらでは今売れなくても低所得層の給料が上がればそのうち売れてゆくだろうとのムードがあり、現実にこの人達が買い始めれば上海周辺だけでオーストラリア1国分の住宅需要が新たに生まれるのである。
(パシフィック・ブレイン株式会社 代表取締役 藤川 洋)