これまで比較的交通事情の良い内環高架路内側や、虹橋空港から市中心へ向かう高速沿線に立地する高層物件をご紹介して参りましたが、最近、庭付きの一戸建て住宅の分譲広告を見るようになりました。現在でも日本人駐在員の間で「一戸建て」というと、虹橋ビラや緑谷ビラといった最低賃料5千ドル以上の邸宅を連想してしまいます。これらの物件の中には月額家賃1万ドルに達するものもあり、プール付きではないものの垣根や塀のない芝生に囲まれ、アメリカ郊外のアッパーミドルを連想させるに十分です。
こうしたビラはホテル並みに管理も行き届き、現在の上海では最も卓越した住環境であることに異論はありません。ただこの様な物件は普通分譲されていません。また仮に売り出されたとして、家賃1万ドルの物件とすると、利回りから逆算すると日本円で億に近い金額になるでしょう。
最近増えたのはこういった超高級住宅ではなく、高速道路や主要国道に沿った郊外型一戸建て住宅です。具体的には空港から318国道を西に行く閔行区や青浦県、その北側の嘉定区などで、市中心までは渋滞を考慮すると車で1時間は掛かります。3階建てが中心で面積は150〜250平方メートル、1階のバルコニー前に小さな庭がついています。価格は1平方メートル当たり3千元程度で総額60万元前後、簡単な内装費用を含めて日本円で1千万〜1千5百万円程度です。
大雑把に言うと都心のマンションとほぼ同じ予算で面積が倍に増える計算になります。実際には車がないと買い物も出来ない場所も多いので、日本に比べても高価なマイカー購入価格(約20万元)も費用に含めて考える必要があります。住んでいるのは事業主や海外に家族の居る上海人が中心で、日本人を含めた外国人は皆無です。
私論では、東京など諸外国と比べても道路が極端に狭く、建物が密集し駐車スペースのない上海は、マイカー乗り入れに対応できず、現在採られている乗り入れ規制が更に強化されるものと考えます。ただ高層マンション一辺倒で供給過剰と言われる中、こうした市場ニーズも確実にあるはずで、今後も道路事情の良い郊外を中心に増えるものと思われます。
(上海新科技房地産 経理 鄭 泓)